このように、私たちは、まず、「ほめるところから入ろう」という発想を持つことが大事です。
そして、さらに、それを実現するために、この発想を私がいつも言っている「叱らないシステム」と組み合わせて考えるいいと思います。
叱らないシステムとは、子どもが自然にできるように合理的な工夫をすることです。
この2つを組み合わせれば、すばらしい効果があります。
たとえば、いつも歯を磨き忘れるという場合は、お箸と一緒に歯ブラシを並べておくだけでも効果があります。
親にお便りを渡し忘れるという場合は、玄関に大きな箱を置いておき、学校から帰ってきたらかばんの中身を全てその箱の中に出すようにします。
身だしなみに注意を払わなくてだらしがなく見える場合は、玄関に大きな姿見を置いておきます。
片づけができない場合は、タイマーで決まった時刻に音楽が流れるようにして、その音楽が流れてきたら10分間お片づけタイムというようにします。
朝なかなか起きられない場合は、目覚ましライトが顔をだんだん明るく照らすようにしておきます。
目覚ましを5つ用意して、1メートルずつ離してセットしておくのもいいでしょう。
目覚ましを5つ止め終わったときは、もう5メートル歩いています。
5メートル歩けばそこはもう洗面所です。
お兄ちゃんが弟をいじめる場合は、お兄ちゃんと弟が仲良く写っている写真を大きく引き伸ばして目に付くところに貼っておきます。
たとえば、生まれたばかりの弟をお兄ちゃんが愛しげに抱っこしている写真。
または、お兄ちゃんと弟が一緒に遊んでにっこりしている写真。
こういう写真を日ごろから目にしていれば、「弟が生まれたときかわいかったな。うれしかったな」「一緒に遊んで楽しかったな」「ぼくたち仲がいいんだな」という気持ちになります。
このような叱らないシステムで、子どもが自然にできるようにしてやることが大切です。
そして、少しでもできたらほめるのです。
実は叱らないシステムのおかげなのですが、それでいいのです。
叱らないシステムは、ほめるシステムでもあるのです。
ほめられることで子どもは自信を持ち、だんだんできるようになっていきます。
そうしたら、お箸と一緒に歯ブラシを並べなくても磨けるようになります。
もしそれで磨けなくなったら、またお箸と一緒に歯ブラシを並べるようにすればいいだけのことです。
このように、「ほめるところから入ろう」という発想を叱らないシステムと組み合わせることで、実際にほめる機会が増えるのです。
ぜひ、この方向でいって欲しいと思います。
でも、ここで私は、敢えてもう一歩進めてみたいと思います。
それは、「ほんの少しでもできたらほめる」だけでなく「まったくできなくても取り敢えずほめる」があってもいいということです。
つまり、「まったく変わっていなくても取り敢えずほめる」「あたかも成長したかのようにほめる」「事実がなくても、しつけたいことを取り敢えずほめる」ということです。
つまり、いい暗示にかけるわけです。
ときには、これも必要です。
なぜかというと、こうしないとなかなかほめられないこともあるからです。
でも、いつもいつもこれでは、子どもに見抜かれてしまいます。
目を皿のようにしてほんの少しの事実を見つけてほめる、叱らないシステムで事実を作るのを手助けしてほめる、これらと平行してやることが大事です。
とにかく、「叱るところから入る」のではなく、「ほめるところから入る」という発想を持ちましょう。
私たちは「できたらほめる」という発想でいるから、永久にほめられないのです。
本当は、「できたらほめる」よりも「ほめたらできる」という発想の方がいいのです。 |