なるほど、たしかに私は子どものしつけについて、そういうことを本に書いたり講演で話したりしています。
それを短く言うと、こういうことです。
・ほめてしつける
・しつけたいことを取り敢えずほめる
・叱るところからでなくほめるところから入る
詳しく言うと、こういうことです。
例えば、お兄ちゃんが弟をいじめて困るという悩みがあるとします。
その場合、普通、親はお兄ちゃんが弟をいじめているところを見つけて、次のように言います。
「なんで、また弟をいじめてるの!いい加減にしなさい。弟をいじめるのはやめなさい。なんでお兄ちゃんらしくできないの!」
さらには、次のように余分なことまで言ってしまうこともあります。
「なんでそんなに意地悪なの!あんたみたいなお兄ちゃんじゃ、弟がかわいそうだよ」
怒りのあまり、このような人格を否定するような言葉をぶつけてしまうこともあるわけです。
でも、このように叱っても兄弟仲をよくすることはできないのです。
なぜなら、叱られた方には必ず恨みが残るからです。
その恨みは、いつかどこかで晴らされることになるのです。
実は、これよりもっといい方法があるのです。
それは、叱るところからではなく、ほめるところから入る方法です。
もちろん、お兄ちゃんが弟をいじめているのを見たら、親は止めなければなりません。
でも、そこで、余分なことは言いません。
その分、親は、自分の心に言い聞かせます。
「よし、兄弟仲をよくしてやろう」「今度お兄ちゃんらしいことをしたときに、大いにほめよう」「ほめるところから入ろう」「兄弟仲のことで取り合えずほめよう」「兄弟仲をよくする合理的な工夫を考えよう」
そう言い聞かせて、何日間か、目を皿のようにして機会をうかがいます。
そして、ほんの少しでもお兄ちゃんがお兄ちゃんらしいことをしたときに大いにほめるのです。
例えば、玄関で弟の靴を出してやったときとか、弟の落としたお箸を拾ってやったときとか、何でもいいのです。
ほんのちょっとしたことでいいのです。
そこですかさず、「さすがお兄ちゃん、ありがとう」「やっぱりお兄ちゃんだね」「いいお兄ちゃんだね」「このごろお兄ちゃんらしくなってきたね」などと言って、ほめるのです。
実は、これくらいのことは、誰でもけっこうやっているのです。
でも、親はいつもこういう姿を見落としています。
見落としておきながら、望ましくないことをしたときだけ敏感に反応するのです。
「ほめるところから入ろう」と決意して、ほめることを見つけようと意識していれば、けっこう見つかるものなのです。
それを見落としてせっかくのいい機会にほめずにいたなら、子どもができないときにも叱る資格はないのです。
それは、さきほど紹介した男の人が言ったとおりです。 |