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「親力」 親野先生コラム 第41回

しつけたいことは、取り敢えずほめよう
~叱るところからではなく、ほめるところから入るのがしつけのコツ~(前編)

先日、ある男の人と話をする機会がありました。
その人は、子育て中のお父さんで、私の本を読んでくれているそうです。
そして、ありがたいことに、なんと、その人はこう言ってくれたのです。

「先生の本は全部読んでます。このごろは叱ることがほとんどなくなって、子どもも私も幸せいっぱいです。でも、うっかりしてるとまた元通りになってしまうので、先生にどんどん本を出してもらって、それを読んでチューニングを続けたいです」

それを聞いて、私はすごくうれしかったです。
と同時に、チューニングという言葉がとても印象深かったです。
チューニングとは、ラジオなどを特定の周波数に同調させることです。

つまり、ある本を読むということは、知識や情報を得るだけではなくその本や著者の持つ周波数に自分を合わせることなのです。
私も経験がありますが、いいビジネス書や自己啓発書を読むと、ものすごく元気になってやる気満々になります。
それは、その本と著者の持つすばらしいエネルギーに、自分の周波数が同調した状態なのです。

でも、しばらくすると、またいつもの自分に戻っていきます。
これではいけないということで、またその本を読んだり、その著者の他の本を読んだりするわけです。
こういう経験があるので、その人が言ったチューニングという言葉の意味するところがとてもよく分かりました。

それで、その人は、続いて次のようなことを話してくれました。

ある日、彼は奥さんが作った夕食を見て腹が立ったそうです。
なぜかというと、ご飯以外に出てきたのが奴豆腐とうなぎの蒲焼きと卵焼きで、野菜はほんの少しの漬け物しかなかったからです。
「タンパク質と炭水化物が多くて、ビタミンやミネラルを摂取するという配慮が何もない」というわけで、腹が立ったのです。

それで、以前だったら、「なんでもっと栄養のバランスを考えないんだ!野菜が何もないじゃないか」と言うところだったけど、彼はそうしませんでした。

その代わりに、こう考えたそうです。
「今度、ちょっとでも栄養バランスがいいとき必ずほめるぞ。今まで、栄養バランスがいいときもほめてこなかった自分には怒る資格なんてない。それについて無自覚だった点でお互い同じレベルだったんだから」

そして、3日後くらいに、奥さんが野菜もたっぷり入った栄養バランスのいい夕食を作ってくれたとき、ここぞとばかりにほめたそうです。

彼は、「これは、先生が子どものしつけについて言っていることの応用なんです」と言っていました。

親野智可等
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