例えば、ダンゴムシが大好きなA君という1年生がいるとします。
A君は、ダンゴムシがいるところをよく知っていて、いつもたくさん捕まえることができて、飼い方も上手で、ダンゴムシで楽しく遊ぶ方法もよく知っているとします。
そういうA君にノートを1冊用意してやって、大人がうまく働きかけてやると、「紙に鉛筆で書く」段階に進むことができます。
まず、「ダンゴムシのこと、よく知ってるね」とほめてやります。
そして、「ダンゴムシの絵もうまく描けそうだね」と言って乗せます。
絵を描いてくれたら、ほめまくります。
そして、体の各部分の名前や働きなどを言葉で書いてもらいます。
さらに、ダンゴムシの捕まえ方、飼い方、遊び方なども絵と言葉でかいてもらいます。
つまり、ダンゴムシのことを詳しく教えてもらうわけです。
自分の発見したことや知っている知識も、ノートにどんどん書いもらいます。
書いているうちに分からないことが出てくると、図鑑などで調べて書くことも教えます。
もともと大好きなことですから、喜んでやります。
そして、これはもう立派な勉強なのです。
分野で言えば、理科ということになります。
自分が体験してきたこと、いつもやっていること、発見したこと、知っていることなどをノートにまとめる、これこそ最高に楽しい本物の勉強です。
私は教師の時、このような勉強を「自主勉」と呼んで大いに奨励してきました。
予定帳の宿題の欄に、いつも「自主勉」と書いていました。
宿題の欄に書いてあっても、「自主勉」ですから、やってもやらなくても自由です。
そして、何をやっても自由です。
算数、国語、理科、社会などに、直接結びつかなくてもいいのです。
やってきた子は大いにほめました。
そして、みんなに紹介してやりました。
そうすると、宿題でなくてもたくさんの子が張り切ってやってきました。
いろいろな子がいろいろな勉強をやってきたものです。
サッカーの好きなある子は、よくサッカーについて書いてきました。
自分の得意技、蹴るときのコツ、練習方法、作戦の種類、有名選手の特徴、各国の有名サッカーチームの紹介、サッカーの歴史などなどです。
この子も、最初は自分のことが中心でしたが、だんだん調べて書くようになりました。
ポケモンのことを実に詳しく一生懸命書いてきた子もいましたし、戦国武将について書きまくった子もいました。
鳥のことをよく書いた子もいましたし、住んでみたい空想の家についてよく書いた子もいました。
コツはほめまくることだと思い、ほめることに徹しました。
子どもたちの個性的な自主勉を見るのは、とても楽しい時間でした。
ここでもう一度強調しておきますが、算数、国語、理科、社会などに直接結びつかなくてもいいのです。
本人が好きで興味があることが一番です。
ポケモンでもサッカーでもいいのです。
それで、初めて、楽しく取り組めるのです。
それが、「遊びから入って、それを発展させる形で『紙に鉛筆で書く』段階へ進む」ということの意味なのです。
とにかく、自分が好きなことを「紙に鉛筆で書く」ということが大事なのです。
そして、これは、実は立派な勉強なのです。
ポケモンのキャラクターを極めるのと歴史の登場人物を極めるのは、本質的に同じです。
鳥のことを観察したり詳しく調べたりして書くのも、すばらしい勉強です。
それが教科書に出ていなくても、目の前の学校の勉強に直接役立たなくても、勉強であることに代わりはありません。
それどころか、やらされる勉強よりももっと身に付く勉強です。
その子にとっては、内発的な動機付けによる研究といってもいいくらいのものです。
こういうときに、勉強の楽しさを味わうのです。
そして、そういう姿に対して「勉強が好きだね」とほめてやることが大事です。
これで、「勉強=楽しい」「勉強=ほめられる」「勉強=快」という等式ができあがります。
「紙に向かう習慣」「紙に鉛筆で書く習慣」も身に付くのです。
ぜひ、お子さんの興味のあるところを大事にしてやってください。
それをほめてやってください。
そして、もっと好きで得意になれるよう手助けしてやってください。
例えば、虫が好きなら、飼育体験を手助けしたり、昆虫博物館に連れて行ったり、図鑑を買ったりなどです。
そして、うまく子ども乗せて、「紙に鉛筆で書く」段階へ導くといいと思います。
ダンゴムシのA君の例を参考にしてやってみてください。 |